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店頭のワープロのように、好き勝手書いて好き勝手放置しておく気楽な場。 踊り子さんには手を触れないようお願いします
【スフレ妄想】雨中。
2007年05月10日(木) 05:46
 コンセプトは「必殺!」×「忍者」×「公家侍秘事録」。
 一年ほど前にやったTRPGルール「カオスフレア」で使ったPCの設定を下敷きに、モエの赴くまま書いてみました。


 その男は。
 闇の内側に潜むようにして、そこに居た。

「お待ちしとりました―――」

 夜を満たすは雨の音。
 囁くような声は、古語のそれに似て韻を含んで響き良く――ばたばたと屋根を叩くそれらに紛れることもなく、こちらの耳に届いてくる。
 聞き覚えのない声だ。親しく話した事すらもなかろう。しかし、肌の上を何かが通り過ぎるような違和感が漂う。

「……何者だ」
 震えた誰何の声は、寒さのせいか。
 しかし同じ条件にありながら、応じる声は小憎らしいほど落ち着いたものだった。
「騎士の号をお持ちのお方に名乗れるほどの名は、持ち合わせてあらしません」
「ならば――何故」
「ある御方の使いにおざります」
「使い?」
「はい」
 訝しげに見るこちらに、男は頷く。
「吾の主は、こう言わはりました。先頃、岬の東端で見つかった娘御の――無念の先を探れ、と」
「―――……!」
「矢張り」
 見開いた目の――視線の先で、男が目を細めた。
「貴方様が、娘御の」
「―――知らん!」
 思わず叫んでいた。叫んで首を振る。そうでもしなければ、ゆるりと流れる古語のリズムに、絡め取られそうだった。
「知らん! そんな女は知らん! 俺はそんな」
「『下女の類は見もせん』――?」
「そうだ!」
 知らない。女がどうなったかなど。知る必要などない。
 女はいくらでもいる。寄ってきては去っていく。それこそ寄せて返す波と同じだ。それがどうなろうが―――
「知らん! 人違いだ――俺は何もしていない!」

「成る程」

 叫びに、男が返したのは呟きである。
 そして。
 ゆっくりと嗤う。

「―――よう、判りました」

 それは闇の蠢きのようであり。
 何かの綻びのようであり。
 暴風に煽られる梢のざわめきのようでもあり。

「なれば騎士殿――吾もまた、主殿の命を果たしとうおざります」

 そして。
 その手の内に、見たこともない刃が現れる―――
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