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店頭のワープロのように、好き勝手書いて好き勝手放置しておく気楽な場。 踊り子さんには手を触れないようお願いします
【妄想スパロボ系】Opening02-1
2007年06月06日(水) 08:55
 Opening01の続き。実は主人公側。


 機動兵器と戦闘機の違い――それは、速さだ。
 ヒトガタを模した機動兵器には実現できない速さ。空を切り裂き世界を往くという、その行為の為に科学を結集して形作られ、生み出されたものたち。
 故に、単独での飛行能力を持った「人形」――人型兵器というものは、今までに存在してはいなかった。
 そうした行為を行うならば、今までの技術を生かしてアームを内蔵した航空機体を作ればいいのだ。それが合理的な判断であり、現実というものである――筈だった。
 ほんの1時間前までは間違いなく常識であったそれを覆したのは、状況というやつだった。
 救難信号を発していた前線基地の救援の為、彼の配属された試作強襲型飛行戦艦バルトロメイが「敵」人形部隊による強襲を受けたとの連絡を入れたのは、およそ2時間前。直後、無線封鎖を受けたバルトロメイの位置は山岳地帯。真っ当な移動方法では3時間はかかる。だがそれでは間に合わない。
 結果、引きずり出されたプランこそが「試作していた飛行ユニットによる移送と強襲」だったのである。
 何より腹立たしいのが、その作戦の配置である。
 あくまで試作実験の為に運用されていたバルトロメイに配される「人形」は三体。その全てが定期調査と同時に改修を行っている現在、残っている人形のパイロットもまた三名。しかも彼――初期に別の基地から「拾われた」市野在人(いちの・あると)以外の二人はテストパイロットとして最初から乗り込んでいただけあり、ベテラン・手練れを一足飛びに通り越してエースを名乗れるような面子なのある。
 同い年でありながら前大戦最大の激戦区であった木星圏少年義勇団に参加し、かつその数少ない生き残りであるテオドール・フィオリーニ。
 前大戦初期から正規パイロットとして各地を転戦し、戦果を上げ、かつ生き残った戦闘時間5桁の古兵である松里恭一郎(まつり・きょういちろう)。
 普通、こういった経歴を持つ二人がいるとしたらまずそっちに作戦の中核――「人形」パイロットを振らないだろうか。
 しかし、指名されたのは在人だった。
 しかも選抜される理由というのが、更に無茶苦茶だった。食事時にぐったりしていると、松里から声を掛けられたのだ。


「市野。降下訓練の経験は?」
「ありません」
「惑星上での姿勢制御は?」
「あー……シミュレーターでやったことありますけど、実地はゼロです」
「そうか。ならこれからが実地訓練になる。覚悟をしておけ」
「はあ」


 ……なんじゃそりゃ、と思う暇すらなく、その1時間後には輸送機内の人。目を白黒させている間に、実験のモニター用という新しいヘルメットとスーツを渡されて「人形に乗れ」ときた。
 そーゆー有無を言わせない言葉の、否、人間の運び方というのは、一体何処で学んでくるものなのだろう……

《アルトー。調子どうよ?》
 横座りで泣きたい気分を堪えながら、機体調整作業――コクピット周りの作業は基本的にパイロット側の仕事である――を進めていると、インカムからそんな楽しげな声が聞こえてきた。――テオドールの声だ。
「体調? それとも精神?」
《どっちも最悪ってカンジだなー。ご愁傷様》
「そう思うんなら替われ」
 呟きながら、機体を再チェック。マシンの自己チェックは問題なし――まあ、あちらでも何度か動かしているので機体それ自体に問題はないのだ。問題はこれをどうやって動かすか、である。
「つかコレ新型だぞ?! しかも改装機じゃなくてマジ新型! 俺じゃなくてもびびるっつうの!」
《えー? いーじゃん。普通は小躍りするってば。新型乗れる機会なんて滅多にないってば》
「俺は小市民なの。ヒーローじゃないの。冬にこたつで蜜柑食えればシアワセ頂点なの月の日系人は!」
《あー残念。オレ木星人だからわかんねえなそのココロはー》
 陽気に笑い返される言葉にむくれて――ふと、気付く。
(そうか……テオじゃ駄目なんだ)
 テオドール・フィオリーニは木星圏の出身だ。木星圏で生まれ、木星圏で育ち、木星圏の環境でエースと呼ばれるまでの腕を磨いた。そして木星圏の生活環境というのは宇宙ステーションの環境に似ているという。1G環境で生活することは稀だ。
 その辺りを考慮して選抜されたとすれば納得がいく。だが、それならば何故―――
《どした? アルト》
 黙り込んでしまった在人の耳に、訝しげなテオの声が届くまでには一体、どれだけの時間が掛かったのだろう。
「あー……うん。いやその、ちょっと考えててさ」
《なにを》
「いや、その――松里大尉は?」
《キョウなら、まだ医務室じゃね?》
「医務室?」

 何故と。
 そう聞くことは出来なかった。その前に正規回線――「人形」本体の方に、通信が入ったからだ。
 スイッチを入れれば、そこにはお馴染みの――怜悧ともいえる顔立ちの男が映る。
 松里恭一郎。戦闘時間5桁越えの「生還者」。上司。そしておそらく世界の敵――《ユウリ》を唯一、震撼させるであろう男。彼女たちの、敵。

《市野少尉。ブリーフィングまで、あと十五分だ。点検を急げ》
「はい」

 頷き、再びチェックリストに目を落とす。
 頬が強張るのを感じていた。
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